小説です

飯橋武寿(いいはし たけとし)です。グーブログから引っ越して来ました。

2012-12-01から1ヶ月間の記事一覧

村 (第1章 2)

その建物は小高くなった山の上で、周囲を切り通しのように切り開かれた広い空地にあり、土がむきだしになったがけのような壁にかこまれていた。壁の上には山林の草木が生い茂っていた。二階建てのその古い建物は向かって左側に木の階段があり、壁はしっくい…

村 (第1章 1)

白く重い霧が厚く垂れ込めていた。草木は霧に覆い尽くされ、山野は静まりかえっていた。ここはH県の人里離れた山奥だった。フォグランプが光り、霧の中から一台のタクシーが現れた。 運転手は車を止めて、辺りを見回して言った。「確かこの辺だったけど..…