小説です

飯橋武寿(いいはし たけとし)です。グーブログから引っ越して来ました。

2017-07-01から1ヶ月間の記事一覧

村 (第3章 5)

来栖の黄道の会への入会の告白は、意外にも母から理解を持って受け入れられた。どうやら彼女は、最近の報道から、この村のほぼ全員が新興宗教――黄道の会の信者であることを聞いて知っていて、来栖がこの村の分校で小学校教諭の仕事をするにあたっては、彼一…

村 (第3章 4)

来栖が大木から聞いた友紀の病状は予断を許さないものだった。友紀に対する現在の診断は、比較的重度の貧血で、本人には告げられてはいなかったが、再生不良性貧血や、この物語が始まる一年前に死去した、北里とも親交のあった、彼女の兄と同じ急性白血病の…

村 (第3章 3)

「……ああ、信一が帰って来た……」女性の安堵する声が聞え、世間話をしていた原良や三方夫婦も来栖の帰宅を機に、ぴたっと口をつぐんだ。来栖が部屋に入るとそこには、Y村からはもちろん遠く、東京からも遠い、彼の故郷からやって来た来栖の母親の姿があった。…